炭鉱の抜け穴

不可解なことの覚書 チラシの裏

バルサミックムーン トゲトゲ ささくれ 28

 最近読んだ、『貧乏お嬢様、空を舞う』(1932年のイギリスが舞台のフィクション ミステリーシリーズ)に、「そんなことはどうでもいいのだ。わたしたちのような高貴な生まれの人間は、愛のために結婚するわけではない。ヨーロッパの名家同士のつながりを確かにするために結婚するのだ。ふさわしい妻を選ぶことが重要だ。わたしがいつか王になるかもしれない。」「あなたとお兄様とお父様が暗殺されたらという事かしら。」「可能性はある」「わたしは兄や父とは違い、公正で人気のある王になるつもりだ。きみはわたしにふさわしい配偶者になるだろう。君の家族はこの話に賛成するだろうし、これ以上の良縁はないはずだ。」地元の森番の方がずっとましだわ、そういいたくなるのをぐっとこらえた。「君に求めることはそれほどない」片手をひらひらさせながら言った。「跡継ぎを生んでくれれば、あとは好きなだけ愛人を作ればいい。人目に付かないようにさえしていれば」「そしてあなたも愛人を作って、人目につかないようにするんですね?」「そうだ。そういうものなのだ」「わたしはだめです、ジークフリート。わたしは愛する人と結婚したい。世間知らずなのかもしれないけれど、いつか愛する人といっしょに本当の幸せを見つけられると信じているんです。」

というシーンがありました。昔、図書館で読んだその本の著者は、もしかしたら日本におけるそのような階層の人だったのかもしれないと思いました。

 私は、それを読んだとき、今は女性も働くことで経済的に自立できるし、その会話に出てくるジョージ―と同じように漠然とではあるけれど思っていたと思います。