お遍路 15
翌朝は、曇り空でした。
荷物を背負って出発です。
日和佐駅の陸橋から薬王寺が見えています。
昨日の入りに行った温泉のすぐ近くです。比較的朝の早い時間だったためか、お寺の方が掃除をされていました。
お参りをした後、荷物を置きっぱなしだったので階段を下りて取りに行ったところ、赤いカニが。噂の(歩きお遍路さんの間でそうではないかと)赤手がにであろうかと感動したのでした。
一度は見たいものだと思っていたのでラッキーとおもったのですが、写真を見ると少し怒っている顔をしているような。鞄につけていた反射グッズのお猿の形のキーホルダーがよくなかったのでしょうか。
お参りを済ませお城の方向です。
瑜祇塔へ登っていきます。眺めが良いです。
階段を下りているときに、枯葉がカサコソいっていたのでもしやと探すとまたまたカニが歩いていました。
背中の模様がかわいいです。冬はこちらのお寺で過ごすのでしょうか。
本堂から大師堂へ向かいます。
大師堂です。
本堂です。
随求の鐘。年の数だけ鳴らすと良いそうです。並んで鳴らしてきました。おみくじを引きました。こちらのおみくじは、シンプルではっきりしています。そのことについて問いかけたわけではなかったのですが、該当する箇所に否定が書かれていましたが、思い当たることがあって納得しました。今までと違って、船業(ふなのり)という項目があり、なみあらし用心と書かれていました。港町で、命に係わるかもしれない海に出るのは、やはり経験や自分の判断で決める海の男、女(由岐駅の資料館で昔は海女さんが活躍していたのを知りました)といえども、それでもどうかと思う時にひく事もあるかもしれないし、その際はこのように明確な啓示が いいのでしょう。
魚藍観音。漁業関係者の信仰篤い観音様のようです。
こちらでも、お坊さんたちがあわただしく?作業されていました。ヘビと唐辛子のような切り抜きをした和紙が飾られており、何かお祭りの準備かと思ったのですが、この切り抜きは次にお参りした鯖大師やほかの個所でも貼られていたので干支に関連した何かで、こちらで数日後に得度式が行われたようなので、その準備だったのかもしれません。
扉が開けられていたので、お堂の中が明るくよく見えました。
御本尊 薬師如来で、厄除けのお寺として知られており、お参りされている方が大勢いました。
せっかくなのでと、記念写真を撮っていると、もっと素敵に取れないかと、頑張っていたら、「早くお行なされ。いくらとっても同じです。」と言わんばかりに、それまで全く気配がなかったのに、近くにあった大楠から大きな蜂が飛んできました。
納経帳に御朱印を頂いて境内を下りていきます。
仁王門です。今までのお寺では見かけなかったキャラクタ―こうやくんがいました。平成27年は高野山が開創され1200年目に相当し、そのイメージキャラクターだそうです。これからは、次の札所まで22キロ徒歩3日の遍路道が続きます。
平坦な車道沿いを歩いていきます。ホシアサガオ?
ガラス扉の向こうで猫がまどろんでいました。
黄色い蝶が多いです。山道を登っていきます。山で一仕事終えられた感じの年配の男性が、歩きのお遍路さんは最近では珍しい、この辺はあまり通らないからえらいねえと声をかけて下さいました。
ススキが群生していました。ときどき逆さまになった色の濃いフジの花のような植物が生えていたのですが、葛粉のとれるクズの花だったようです。
日和佐トンネルが見えてきました。とても長いトンネルで、反射グッズを鞄のあちこちにつけて準備していました。でも、その心配は無用で、歩道が完備され、明かりも自動で近づくと点灯するようになっていました。入口に以前使われていたのだろう、安全のための反射用品のボックスがありました。どんなものが入っているのか見てみたかったのですが、もう蓋は開かなくなっていました。
反対側の明かりが見えていますが5分以上は歩いています。到着です。安全に歩けました。しばらく行くと道の駅のような場所がありました。おしゃれな洋食屋さんもあり、お昼を食べようかと思ったのですが開店前の時間でした。やまがわち産直市で、買い物をしてお昼も調達します。生みたて卵のプリンを食べ、しばらく休憩します。トイレも貸していただきました。
再び歩き出します。天気がいいためか、トカゲが日向ぼっこをしていました。
彼岸花とモンキアゲハです。
山道の車道沿いを歩いていきます。キカラスウリ?歩道の道の上に、パン喰い競争のパンのようにぶら下がっていておかしかったです。
途中、休憩箇所が見つからず、日が照っていて買ってきたチラシ寿司が傷まないかと心配になってきたのですが、この近くのわき道に大きな桜の木があり、その木陰でお昼にすることができました。
川が流れています。きれいな水です。
彼岸花が咲いています。
小松大師のそばの川にカワウがいました。なんだか感動します。
はじめなぜ川にカラスがいるのだろうと思っていると、二羽いてほっぺたのところが黄色く違う鳥だと確認できました。近くにお店があり、地元産の和菓子をおやつに買いました。小松大師は気づいたら通り過ぎていたようで、お参りしそこねています。
牟岐町に入りました。休日の銀行か何かの建物の前で、入口を一心に見つめている猫がいたので後姿に呼びかけてみたら、びっくりした顔をして振り返りました。
トンネルの手前にお遍路休憩所があります。近くで待ち合わせをされていたらしい男性が、今日はお休みの日で、お接待をしてあげられないとしきりにすまなさそうにされていたのですが、おやつを出してくださいました。座れるだけでありがたいです。ありがとうございました。
しばらく行くと、旧遍路道の案内がありそちらに進みます。
山道を登っていきます。途中「海が見えるよ」の札があり、登ってみました。飲み物を飲みつつ一休みです。
乾いた枯葉の道です。気楽に歩いていきます。
カワラタケ? またキノコの生えている箇所がありました。
コトヒラシロテングタケ?
ずいぶん人通りがないのか、避けて通るためか、この種類のキノコは道の上に生えていました。
急な斜面を下りていき、森の終わりにまぶしい海が見えてきます。
内妻海水浴場のようです。草鞋大師も見つけられず、通り過ぎてしまったようでした。
再び山道を進みます。入口にお地蔵様があったのですが、それだったのかもしれません。明るい陽を浴びてトンボがとまっていました。アキアカネでしょうか。
山道が終わり浜辺に近づいていきます。小川が流れていました。
カニがいます。赤手ガニがあっちこっちにいます。
遠目で海鳥が浮かんでいるのかと思っていたら、波乗りに来ている人たちの頭が見えていたのでした。沢山の人が来ていて、車のそばで帰る準備をしている人たちも見かけます。
お遍路さんシールをたどってそのまま進んでいくと旧遍路道、松坂峠の入り口がありました。赤手ガニさんが、います。お参りさせてくださいを心の中で声挨拶をしてから、登っていきます。それまで見たいと思っていたけれど、草鞋大師の近くの海辺と、この山道で何匹も見かけることができました。
キノコです。
イロガワリ?パンケーキが膨らんだような感じです。
峠の坂を下りていくと小川があり、水が流れていて、左側に海が広がっていました。先ほどの浜辺と違って、こちらには人がいません。お遍路さん専用プライベートビーチか無人島にたどり着いたかのようです。なんだか感動です。
海に手を浸してみます。雲間から、太陽が顔を出しました。
しばらく散策した後、さて、次どちらに進んでいけばいいのだろうと迷います。
反対側には、車道があるらしく、木立の間から時折車の反射する光が見えます。通って来た山道につづく感じの車道につづくだろうと思われる道はありますが、どうも使っていなさそうな道です。峠の出口付近で、猫ぐらいの大きさの生き物が駆けていきました。何の生き物だったのかは確認できませんでした。
まさかねえ、と思いつつ光のさしてきた方角にある、浜辺の終わりの岩を乗り越えて進んでいきます。
どうもこちらのようです。再び木々の生い茂る淵を歩いてみて道を探しますが、ありません。砂浜に足跡を見つけます。その足跡も迷っていたようですが、辿っていきます。さらに進み、しばらくすると道がありました。
海の景色を再び堪能し、浜辺を後にします。道の終わりに、ちゃんとたどり着けるかなと見ていた感じの犬を連れた方がいらっしゃいました。挨拶をして進んでいきます。
室戸阿南海岸国定公園 八坂八浜です。
鯖大師到着です。この付近に来ると再びお遍路さんをお見かけするようになりました。しかしながら、後からネットで調べると、私がお参りしたのはどうも護摩堂のようです。鯖大師本坊には行っていないようです。今日は、他にも空海ゆかりの地にお参りすることなく通り過ぎてしまったようなので、別の機会ということかもしれません。
ですがこちらでいろいろお祈りできてよかったです。馬頭さんとあるのは馬頭観音をお祀りしているということでしょうか。
宿に向かいます。食事場所の大きな窓から、海がとてもきれいによく見えました。今回は歩きお遍路さんとお会いしました。海賊料理も食べられるので、親子三人の方が食事に来られていました。お遍路さんは、定年退職された男性で、先週の台風のなか歩かれていたためか、風邪をひかれていました。その方にもお遍路さんをしてご利益がありましたかと伺うと、初めはお遍路をするうちにいろいろ感じ方が変わっていくのでしょうというようなことを言われていましたが、そういえば家族の事やその他、人生の節目に当たることでいろいろお願いしてきて、うまくいっているなあと言われていました。お遍路をしたからばかりではもちろんないでしょうが、普通の幸せが当たり前にあるというのは、素晴らしいことかもしれません。